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味の素ヘルシーサプライ株式会社

医薬、バイオ・低分子合成、食品、農業資材・肥料、飼料、化粧品

会社カテゴリー:原薬・添加剤・中間体、製造受託機関(CMO)、医薬品製造、再生医療関連

主サービス提供地域:日本

製品・サービス詳細

新規の抗体・バイオ医薬タンパク質分泌発現系 TALAMAX®

サービスカテゴリー:モダリティ、研究・開発、製造、原薬

味の素㈱のTALAMAX®は、糸状菌Talaromyces cellulolyticusをホストとして独自に開発された新規の抗体・バイオ医薬タンパク質分泌発現系です。糸状菌にはセルラーゼを高分泌する株が知られており、Talaromyces cellulolyticusはその一つとして用いられてきました。味の素㈱は、同株に高い異種タンパク質分泌能と胞子形成能がないことを確認して、タンパク質分泌発現系として開発を進めてまいりました。

こんな方におすすめ!
・糖鎖のない抗体が欲しい
・早くプロセス開発を進めたい
・大腸菌・酵母・CHO等での発現系で上手くいかなかった
・目的タンパクの発現量を上げたい
・製造コストを削減したい
 

抗体・バイオ医薬タンパク質の高い分泌生産能

TALAMAX®は、通常の抗体やフラグメント抗体との融合タンパク質などの高分子量で複雑な構造のタンパク質を高濃度で分泌発現させる高い能力を有しています。
-    バイオ医薬品として用いられる抗体にはIgG1、IgG2、IgG4がありますが、
  TALAMAX®は、いずれの抗体にも高い確率で発現に成功し、糖鎖が付加
  しないという大きな特徴を有しています。
-    フラグメント抗体との融合タンパク質には、発現が困難で生産量が低かったり、
  正常なフォールディングをしないケースもありますが、TALAMAX®ではその
  ようなタンパク質も正しいフォールディングで分泌させている実績があります。
 

TALAMAX®を用いた抗体・バイオ医薬タンパク質発現の特徴

①    短い開発期間と製造コストの優位性
TALAMAX®では、味の素㈱が長年セルラーゼ生産の研究開発に用いてきた糸状菌Talaromyces cellulolyticusを用いており、生産株の構築はCHO細胞を用いる場合に比べ格段に短い期間で可能です。加えて取得した株は安定して高生産を示しますので、CHO細胞を用いる場合必要な安定生産菌株のスクリーニングも不要です。また、培地は、糖とミネラルからなる合成培地を使用しますので、安価で動物由来含有物を含んでおりません。E. coliで認められるエンドトキシンを含まず、ウイルス混入のリスクも低く、ゲノムに毒性物質を産生する遺伝子がないことも確認済みです。

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<CHO細胞による抗体生産との比較>上の図は、CHO細胞とTALAMAX🄬の抗体生産の比較を示しています。TALAMAX🄬は微生物によるタンパク質生産系ですので、CHO細胞と比較して開発スピードが速く、培地が安価であるという大きなメリットに加え、糖鎖が付加しないという特徴を有しています。

②    糖鎖の付加の無い抗体生産
TALAMAX🄬を用いたモデル抗体Trastuzumabを発現させると培地中に正しくフォールディングした軽鎖2本と重鎖2本の4本鎖構造の分子量のバンドを検出しました。還元状態で検出した重鎖と軽鎖のバンドを糖鎖染色するとCHO細胞で生産した対象に対し、糖鎖が付加していないことが示されました。通常糸状菌を用いたタンパク質分泌生産では、糖鎖の付加がありますが、Talaromyces cellulolyticusで抗体を生産した場合は、糖鎖が付加しないことを質量分析でも確認しています。
 糖鎖がないことが血中安定性に影響を及ぼさないことは、既に報告されておりますが、懸念する顧客もおられるので、血中動態および算出された動態パラメータを測定しました。最終的に投与液中のそれぞれのTrastuzumab濃度を確認したところ、T1/2はほぼ同等となりました。このことから、糖鎖ありの市販Trastuzumabと同等の血中安定性が保持されていることが示されました。 

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<TALAMAX🄬による抗体生産>上の図は、モデル抗体Trastuzumabの重鎖遺伝子、軽鎖遺伝子をTalaromyces cellulolyticusのゲノムに導入し、導入株をフラスコ培養した上清をProtein Aカラムで簡易精製した画分のSDS-PAGEの結果を示している。還元状態で、重鎖と軽鎖の発現が確認できた。非還元条件では、正しくフォールディングした軽鎖2本と重鎖2本の4本鎖構造の分子量のバンドを検出している。糖鎖染色では、CHO細胞で生産した対象に対し、糖鎖が検出できないことが示された。抗原に対する結合は。糖鎖の付いたCHO細胞で生産した抗体と同等であった。

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<TALAMAX🄬で生産した抗体の血中安定性>上の図は、モデル抗体Trastuzumabの血中動態および算出された動態パラメータを測定したものです。最終的に投与液中のそれぞれのTrastuzumab濃度を確認したところ、TALAMAX🄬で分泌生産したトラスツヅマブの濃度が対照として用いた市販Trastuzumab濃度と比べて若干低かったため、CmaxおよびAUCが低めの値となったが、T1/2はほぼ同等であった。


③    多様なタンパク質発現
発現のバリエーションを強化するため、モデル抗体Trastuzumab と同じIgG1であるadalimumab、IgG4であるNivolumabの生産を示しました。どちらの発現にも成功し、抗原への結合まで確認できています。また、IgG2の発現にも複数成功しております。さらには、フラグメント抗体との融合タンパク質として、他の発現系では、発現が困難で生産量が低かったFc融合タンパク質やscFv融合タンパク質を正常なフォールディングで分泌させている例もあります。

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<IgG1とIgG4の発現>上の図は、モデル抗体Trastuzumab と同じIgG1であるadalimumab、IgG4であるNivolumabの生産を示している。どちらも発現に成功し、抗原への結合まで確認できた(Nivolumabでは対照無し)。
 

CHO細胞を超える抗体・バイオ医薬タンパク質の発現系を目指して


TALAMAX🄬では、モデル抗体Trastuzumabの初期の生産量40 mg/Lから、発現カセットの改良や菌株の分解活性の低減等の改良とさせると同時にジャー培養の条件改良により3 g/L/6日まで改良を重ねてきました。現在は5 g/L/5日を達成すべく菌株と培養プロセスの改良を進めています。さらに抗体生産量を向上させ、CHO細胞を凌駕する発現系の構築を目指しています。

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<IgG1とIgG4の発現>上の図は、培地中へのモデル抗体Trastuzumabの生産量(タイター)を示している。現状のStrain 4では3 g/Lに到達している。今後、早期に5 g/Lを達成し、さらに抗体生産量を向上させるべく取り組んでいる。

TALAMAX®システムにおいては、従来の発現系では製造が難しかった抗体・バイオ医薬タンパク質を効率良く製造することが可能です。50年以上にわたるアミノ酸生産で培われた味の素㈱の技術を駆使して菌株開発と培養プロセス開発を鋭意実施しているところです。