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トビー・テクノロジー株式会社

アイトラッキング開発・製造・販売、コンサルティングサービス

会社カテゴリー:ITソリューション、コンサルティング

主サービス提供地域:

製品・サービス詳細

トレーニング/教育における活用事例:救急救命の教育現場で活用

サービスカテゴリー:

救急救命の教育現場で活用
新たな気付きで教育を高度化


救急救命の重要なツール、ストレッチャー。
その安全な操作には、視線の動きがポイントだった。

はじめに

日本体育大学 保健医療学部 救急医療学科では、救急医療、蘇生医療、災害医療を3つの柱として、それぞれ国際的な立場で実践活動・指導できる救急救命士を育成しています。

技術面だけでなく、医療人として求められる高い倫理観と崇高な精神を徹底的に教育しています。

また、日本の各分野で活躍中の多数の著名人からの特別講義や国家試験対策・就職対策が充実し、専門家からの質の高い講義と実践的な実習を行っています。
さらに、公開講座を開催するなど、市民に対して、救急救命の知識の普及にも努めています。

こうした多彩な活動の中で、救急救命活動の重要なツールの一つである「ストレッチャー」の操作の教育の高度化をめざして、トビーのウェアラブル型アイトラッカー「Tobii Pro グラス3」を活用して、調査研究を行いました。

本研究におけるアイトラッキングの価値

わが国では、平成3年(1991年)に国家資格としての救急救命士制度が施行されました。

今日では、全国で約7万人の救急救命士が活躍しており、救急車には少なくとも1名の救急救命士が乗務することが求められています。

しかし、救急救命をさらに高度化するためには、救急車に、さらに多くの救急救命士が乗務していることが理想です。

救急救命士の国家資格を得るためには、消防機関で救急隊員となり2000時間もしくは5年間以上の経験を経て7ヶ月間の養成課程研修を修了する必要があります。また、大学や専門学校で所定の課程を修了し、国家試験に合格することで、救急救命士の資格を得ることができます。

今後の救急救命の高度化、充実のためには、専門的な教育を実施している日体大のような大学での教育が重要となってきます。

救急救命では、災害や事故の現場から傷病者を一刻も早く搬送するためのストレッチャーが、重要なツールの一つとなります。

傷病者を搬送する「動くベッド」であるストレッチャーは、操作に難しいところがあります。病院の中では、床が平らなため比較的スムーズに操作することができます。しかし、災害や事故の現場では路面は必ずしも平坦ではなく、操作には細心の注意が必要でありストレッチャーで傷病者を搬送中の事故も皆無ではありません。

そこで、ストレッチャーの正しい操作を教育することが重要となります。

現場におけるストレッチャーの操作では、傷病者の容態の確認だけでなく、周囲への目配りによる安全の確保が重要です。

そこで、日体大では、ストレッチャー操作の教育効果を高めるために、トビーのアイトラッキングを活用して、操作中の視線を計測して分析する調査研究を行いました。

ストレッチャーの操作には、スピーディな動きと激しい視線移動が伴います。
そうした状況の中での視線計測には、トビーのウェアラブル型アイトラッカー「Tobii Pro グラス3」がおおいに威力を発揮しました。


" アイトラッキングの調査研究で、私たちのこれまでの教育方法の改善ポイントも分かりました。これまで培ってきた経験値に、今回得られた知見を加えて、教育をさらに高度化していきたいと考えています。
日本体育大学 保健医療学部 准教授 修士(防災政策)・修士(健康科学) 中澤 真弓様


研究内容

調査研究では、ストレッチャーの「右側」「左側「後方」「防振架台のロック」「傷病者の足側」「傷病者の頭側」の6点のポイントを設定し、その中に入った視線の時間と回数を測定しました。

この調査研究には、熟練者(救急救命士の国家資格を持つ先生)3名と初心者(学生)15名が参加しました。

ストレッチャー操作中、見ているポイントは熟練者(救急救命士の資格を持つ先生)と初心者(学生)で大きな違いはありませんでした。

しかし、見ている時間に大きな違いが見出されました。熟練者は、6つのポイントに満遍に目配りしているのに対して、学生は傷病者の顔を見ている時間が長く、後方はほとんど見ていませんでした。

傷病者を観察することは、救急救命の基本で、重要なことですが、ストレッチャーでの
搬送中には、ほかにも見るべきポイントがあります。

この調査研究の結果を受けて、日体大では、教育内容をさらに高度化しています。


" 今回、感覚ではなくデータで示すことで、学生の理解が早まることが判明しました。従来は、カン・コツといった職人技の伝承的な教育方法が主でしたが、今後は、科学的な根拠をもって後世に伝えていきます。今後とも、アイトラッキングを「スポーツと医療」の両面で活用していきます。
日本体育大学 保健医療学部 救急医療学科 救急救命専門指導教員 修士(救急災害医療学) 原田 諭様