スペラファーマ株式会社
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医薬品のCMC研究開発および製造受託事業(CDMO)
会社カテゴリー:医薬品開発業務受託機関(CRO)、製造受託機関(CMO)、分析、試験受託サービス、その他受託サービス
主サービス提供地域:日本、アメリカ合衆国、ヨーロッパ
製品・サービス詳細
不斉合成技術を活用し、効率的な原薬プロセス開発に貢献
サービスカテゴリー:原薬、研究・開発
近年、きわめて複雑な化学構造を有する新規化合物や、物性情報が不明な化合物などを新薬候補化合物とされるケースがあり、スペラファーマにもそのような化合物の製造開発やGMP製造などのご依頼が増えています。開発速度を最優先する顧客要望に応え、スケールアップに進む製造法のプロセス開発に挑むスペラファーマの技術力に大きな期待をお寄せいただいている証左かと思います。
厳しいタイムラインの中で、難易度の高い化合物の製造法の開発にどのように立ち向かっているのか。最近の事例なども交えながら、製薬研究本部 主任研究員 山田雅俊に話を聞きます。
■Quickly taking basic research results to the clinical stage
―担当を教えてください プロセス化学*1を駆使した原薬または中間体の工業的な合成法開発や、不斉合成技術を使った生産性の高い新たな製造法を開発する業務を担当して20年以上になります。 *1 有用な化合物の製造プロセスをミリグラムスケールからキログラムもしくはトンスケールまでのスケールアップを研究する化学 ―どのようなご依頼が多いですか? 製薬企業各社や国立大学を主とする研究機関などから、新薬候補化合物の製造法開発のご依頼が多いです。またジェネリック医薬品も含め、既存の医薬品に対しても安全面やコスト面、収率や品質の向上がより期待できる他の合成法が見出せないかといったご相談もいただきます。 ―新薬候補化合物というと、どのくらいの数があるのでしょうか? 直近のデータで約70万超のリード化合物から臨床試験に移行できたのは70、申請承認までとなると28化合物に絞られます。成功確率は実に2.5万分の1、10年以上の歳月がかかるとされています*2 *2 日本製薬工業協会調べ)第5回国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会 資料1(2018) |
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―どのように研究が進みますか? 原薬製造において非臨床や臨床初期の開発段階ではスピードが最も重視され、目的の原薬を早期に合成することが要求されます。ステージが上がるごとに、堅牢性、原料単価や入手容易性、さらに工程収率や品質設計の要求度も高まります。また、操作上の安全性や人体へ影響などを確認した上で研究が進みます。 医薬品は複雑な化学構造を有する場合が多く、特に新薬のプロセス開発は中間体の段階から新規化合物が多く物性情報が不明なため、大きな壁に何度もぶつかりますね。 ―意識していることはありますか? 既知反応を整理して効果的な合成方法を提案すること、新規反応のアイデアの可能性を融合させることを常に意識しています。コスト競争力のある製造法に導くことで企業利益はもちろんのこと、開発コストが抑えられれば薬の価格にも反映され、結果として患者さんの経済的負担の軽減や医療への貢献につながると考えます。 |
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■ キラル医薬品合成に有用な、高いレベルの不斉合成技術を保有 ―キラル医薬品について教えてください 原薬は、さまざまな原子が結合した一つの分子結合から成り立ちます。中でも水素、炭素、窒素は、順に最も多くその分子構造を構成する原子です。さらに、炭素原子は四つの結合手を持ち各々の結合がまったく異なった置換基と結合する場合、互いに重ならない鏡像関係(右手と左手の関係)の2つの異性体ができます。その炭素原子は不斉炭素と呼ばれ、(S)体と(R)体の2つのエナンチオマー (鏡像異性体)に分かれます。 ―エナンチオマーのみを合成できないのですか? 現在では有用なエナンチオマーのみを合成する不斉合成法が多く存在し、多くは以下に大別されます。 ・触媒的不斉合成(不斉金属触媒を使用) ・生物学的不斉合成(酵素等の生体触媒を使用) ・化学両論量の不斉補助剤を使用する不斉合成 最近では金属を用いない有機分子触媒を利用する研究も盛んになっていますが、当社では最も工業的に利用されている不斉水素化反応を利用した不斉合成技術を武田薬品時代から研究しています。この技術力は国内外から高い評価をいただいており、独自の配位子を含めた約300種類以上の不斉配位子をストックしていることで迅速にお客さまのニーズにマッチした不斉触媒スクリーニングが可能です。さらにスケールアップ条件検討には加圧設備機器を有していますので、不斉水素化反応などの加圧反応の迅速なスケールアップデータ蓄積が可能です。 |
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■ スケールアップ可能な原薬プロセスの開発 ―最近はどのようなご依頼があるのでしょうか? お客さまから複雑な化学構造を持つ某医薬品候補化合物について、開発スケジュールを最優先に、GLP試験用原薬に続く初回GMP原薬を製造したいとのご依頼がありました。ただ、検討されていた合成法の内容と要求されたスケジュールを見比べた時、厳しいなというのが率直な印象でした。 ―どのようなところに苦労しましたか? 出発原料の入手のリードタイムが非常に長かったことから、開発スケジュールを優先するためには早期に発注する必要がありました。出発原料を発注するとこの原料からの製造しか選択肢がなくなり、結果として合成法の抜本的な変更ができません。スケールアップに向けて、既存方法に最適化を施すしかなかった点が苦労しました。 ―どのように対応したのでしょうか? この医薬品候補化合物の化学構造は複数の窒素原子を含有する化合物で、金属触媒反応も複数利用します。金属への配位能力のある窒素原子に影響されないような反応条件の選定や後処理工程においては、その塩基性を活かした精製法なども組み合わせ、GLP試験用ならびにGMP原薬の製造にこぎつけられました。無事、お客さまのご要望に応えることができほっとしています。この医薬品候補化合物についてはアライアンス活動も順調に推移しているとお聞きしていて、そのお役にも立てているかと思っています。 ―突破口はどこだったのでしょうか? まだ課題はありますが、触媒的不斉水素化反応を利用して配位性の強い基質を保護脱保護が不要な状態でダイレクトに不斉水素化して、光学活性体に導いたところは将来的な製造を見据えたうえでも価値がありました。お客さまからご依頼を受けたときには保護脱保護が必要であったことから、工程短縮も実現することができました。 ―やりがいがありましたね 今回ご依頼いただいたお客さまからは「今回のような複雑な製造法の検討を引き受けると言ってくれたのはスペラだけだ」と感謝され、大きな喜びを感じました。オールスペラとして、協力会社や社内間で調整を図り、それぞれの持ち場でお客さまのご要望に応えるべく機敏に動けたことが良かったと思います。 ■ 一気通貫のCDMO*3事業を展開 ―さらに研究が進みますか? 不斉水素化反応を利用する製造技術は、これまで多くの治験薬製造に適用し収率向上や短工程化に寄与してきました。発展的な不斉還元的アミノ化反応なども意欲的に研究しています。また、対応する基質にマッチした不斉触媒や不斉配位子のファインチューニングも得意技術ですので、さらに磨きをかけていきます。 *3 Contract Development Manufacturing Organization |
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―アピールポイントをお願いします 実際に当社で開発された不斉配位子群は、試薬として購入が可能*4で各分野から高い評価を得ています。今回の依頼に限らず多くの研究テーマで、原薬供給後も品質管理、製剤化、各種臨床試験での評価といった医薬品申請において重要な業務をシームレスで実行できるのがスペラファーマの強みです。製薬・製剤・分析など各研究分野が連携し、さまざまな開発段階でより質の高い研究成果を提供していきます。 *4(R)-DTBM-BINAP, CAS: 705281-18-1, 富士フイルム和光純薬株式会社(一例) |
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―CDMOとして今後の展開は? 当社は、非臨床から臨床試験、上市に至るまでの領域を担当するCMC(Chemistry, Manufacturing, and Control)分野で事業を行っています。お客さまにとって極めて重要なステージを私たちスペラファーマに託していただいているので、製品化に向けてスピード感と確実性をもってCMC研究の成果をお客さまの開発スケジュールに乗せていきます。 2020年3月から参入したイワキグループ内の連携も深め、原料調達から原薬の商用生産まで幅広く受託することが可能となりました。当社にご相談いただければ一気通貫で対応できますので、お客さまの課題解決にぜひスペラファーマの技術力をご活用いただければと思います。
スペラファーマは、CMC研究のエキスパートとして開発初期のR&Dから治験薬製造、分析、申請サポートおよびコンサルティングなどお客さまの課題解決をトータルにサポートします。また、連携企業との協同体制も整え、ワンストップサービスも可能です。お客さまの医薬品開発のプラットフォームとしてご活用ください。 ■ お問い合わせについて |