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日本精化株式会社

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会社カテゴリー:原薬・添加剤・中間体

主サービス提供地域:日本

製品・サービス詳細

プレソーム

サービスカテゴリー:製造、開発

日本精化の独自技術で製造した脂質混合物であり、リポソーム製造の複雑な操作を大幅に省くことができます。

Presome®シリーズ

リポソーム製剤の調製時には重要なポイントがあります。

  1. 分子レベルでの均一化が必要。(コレステロールの析出回避)
  2. 有機溶媒を完全に除去しなければならない。
  3. 十分に水和させないといけない。

ラボでは様々な手法や装置を駆使して強制的にリポソームを調製できますが、スケールアップ生産を実施する際にはラボでの調製のようには出来ないケースがほとんどです。

弊社の混合脂質「Presome®」はこれらの問題点の多くを解消します。

Presomeとは…?

リポソーム製造の複雑な操作を大幅に省くことができるプレミックスです。有機溶媒を使わず水溶液を加えて軽く攪拌するだけで、粒子径1㎛程度のMLVリポソーム液が得られます。

この後、必要に応じて目的の粒子径までサイジングすることで要望するリポソームが得られ ます。
Presomeは単に脂質粉末を混合したり、脂質混合溶液から溶媒を除去したものではなく、リポソーム調製用に特別な工程を経た分子レベルの脂質混合物で、リポソーム製造工程の簡略化、大量製造、高濃度液の調製に最適です。

Presome®を使用頂くメリット

少量スケールでのリポソーム調製方法の一例

方法 概要 長所/短所
Bangham法 クロロホルム等有機溶媒に脂質を溶解、
エバポレーターでナススラスコ中に薄膜を形成し水和。
○ラボで比較的簡便
×有機溶媒を使用する(リポソーム液に残存する)
×超音波処理が必要
×スケールアップが困難
×薄膜形成時コレステロール析出の危険性有り
逆相蒸発法 クロロホルム等有機溶媒に脂質を溶解させ、
これに水溶液を徐々に加え超音波等で
分散させ、減圧で溶媒を回収する。
×有機溶媒を使用する(リポソーム液に残存する)
×超音波処理が必要
メカノケミカル法 超高圧ホモジナイザー等を用いて剪断力で
微細化していく。
○有機溶剤を使用しない
×脂質と水溶液を親和させる為の前処理が必要
×多くの処理回数が必要
×スケールアップ時には大がかりな設備が必要

リポソーム調製時に有機溶媒を使用するのでリポソーム液に溶媒が残留する、コレステロールが析出する、スケールアップが困難である、
設備が大がかりであるなど、問題が沢山あります。

Presome®の使用によりこれらの問題を解決します!!

  • リポソーム液製造の複雑な操作を大幅に省くことができます。
  • リポソーム液の大量製造、高濃度液の調製が可能です。
  • 最大20㎏/ロットの生産が可能です。
  • 有機溶媒を使用せずにリポソーム液が調製可能です。
  • ご希望の脂質組成でPresomeを製造することが可能です。
  • 脂溶性の物質を含めたPresomeも調製可能な場合が有ります。
  • 日本精化の独自技術です。
  • 原料の脂質は、日本精化の高純度リン脂質、高純度コレステロール、高純度PEG脂質等をご利用頂くことが可能です。
  • 一貫した品質管理/GMP管理が可能です。

Presome®の水和能力

比較サンプル 

 

水溶液を加えて手で振とうするだけです

サンプル2種を65℃の温浴で手で振とうして水和。
目視で粉末の溶け残りが無くなるまで振とうを続けました。
両方ともに65℃で振とうした時間は6分間でした。
混合品は泡立ちが激しく、Presome法はほぼ泡立ちはありませんでした。

脂質濃度 = 0.5g/13.5mL(250mM硫酸アンモニウム)


エクストルーダーで粒子径を制御します

サンプル2種を65℃の加温したエクストルーダーを使用して整粒を行いました。
混合品は1分間で全量が通過しましたが、Presome法では約3分間を要しました。


使用フィルター : 50㎚ポリカーボネートフィルター
液量 : 約14㎖(脂質総重量0.5gを使用)

整粒の結果…Presome法では何もありませんでした

整粒後にエクストルーダーを分解すると、混合品ではフィルター上に結晶が多く残っていましたが、Presome法では何もありませんでした。

混合品は十分水和できていない?

使用した脂質原料が部分的に水和されておれず結晶(固体)として存在しており、エクストールーダーでの整粒時にフィルターを通過出来ずに濾別されてしまいました。目視では、使用した脂質の約半分程度が濾別されてしまっているようでした。
一般的に、コレステロールは脂溶性が高く、単に水に今後したり、他のリン脂質などと一緒に混ぜて攪拌しただけでは十分に溶解せず、脂質膜に取り込まれません。この事を確認するために、HPLCで両者の脂質組成分析と、化学的構造の違いを知るためにIRを測定してみました。


混合しただけでは脂質組成が変化します

HPLC/UV検出器にて得られたリポソーム液の脂質組成を半定量的に確認しました。

HPLCの条件

  • 移動相:逆相条件
  • 検出器:UV(215㎚)
  • カラム:逆送カラム
  • 温度 :40℃
  • 流量 :0.6mL

その結果、混合品はコレステロール由来のピーク(RT=3.4min)がほとんど確認出来なかった事に対し、Presome法ではコレステロール由来(RT=3.4min)、MPEG2000-DSPE由来のピーク(RT=1.7min)及びHSPC由来の2本のピーク(RT=3.9及び4.9min)が規定量だけ確認出来ました。

混合物を使用し整粒した後、エクストルーダーのフィルタ上に残っていたものは、
コレステロールでした。

各脂質を単に混合し水和しただけでは主にコレステロールの結晶が整粒時にろ過されてしまい結晶としてフィルター上に残存しました。
その結果、リポソーム組成が変わってしまいました。

PresomeACD-1を使用し水和、整粒し得られたリポソーム液は、フィルター上には何も残っておらず、コレステロールも脂質膜の中にとりこまれ、
正常にリポソーム化されている事が確認出来ました。


Presome化すると化学構造が変化します

脂質を単に混合した物と、Presome ACD-1のIRを測定すると、両者ではいくつかの違いがある事が解りました。
主に1300~600cm-1付近の指紋領域に変化が現れており、官能基の変化では無く結晶構造の変化であると考えられます。
IRチャートの違いから、各脂質それぞれ単独の結晶構造を持つ粉末が混ざりあった物では無く、各成分の結晶性結合が失われ、新たに分子間結合が形成されている、という事が示唆されます。


Presome®の水和能力 まとめ

Presomeは各脂質成分を単に混合しただけの物では無く、
分子レベルまで混ざり合った、容易に水和する固体となっている事がわかりました。

Presomeは特別な前処理を必要とせず、
水溶液と混合し攪拌する程度で、水和する事が出来ます。

Presome®の一例

Product name Lipid Content
Presome ACD-1 HSPC: Cholesterol : MPEG-DSPE
Presome PPG-Ⅰ DPPC: Cholesterol : DPPG
Presome SST-Ⅱ DSPC: Cholesterol : MPEG-DSPE
Presome MMG-Ⅱ DMPC: Cholesterol : DMPG
Presome EEG-Ⅰ PCE : Cholesterol : PGE
Presome TSU DPPC: Cholesterol

上記組成は一例です。これら以外に、ご希望の脂質組成での製造が可能です。
脂溶性API等の物質を含めたPresomeも調製可能な場合があります。

Presome ACD-1は東京化成工業株式会社を通じて試薬販売させていただいております。
ご興味をお持ちいただけましたら以下のリンク先をご覧ください。

https://www.tcichemicals.com/JP/ja/p/P2807

もしGMP-gradeの物をお求めでしたら、現在のページの下に記載されているお問い合わせ先よりお尋ねください。

Presome®製造設備

医薬品に用いられるPresomeの生産は、すべての作業を環境管理エリア内で行います。原料を 溶媒に溶解後、CRUXシステムで処理して得られ た物を乾燥機で乾燥し、包装します。

Presomeを製造するプロセスはFDA EMEAに認可されています。

Presome 製造室(環境管理エリア)

Presome 製造設備 "CRUXシステム"

Presome 製品取出口

棚段式真空乾燥機(能力約50kg)