会員登録済みの方

次回から自動的にログインする
ライフサイエンス企業情報プラットフォーム

ライフテクノロジーズジャパン株式会社 バイオサイエンス事業部

会社カテゴリー:研究関連資材

主サービス提供地域:

製品・サービス詳細

空間プロテオミクスにおけるイメージングワークフローガイド ― EVOS S1000 Spatial Imaging Systemと空間生物学関連試薬 ―

サービスカテゴリー:分析、検査


EVOS S1000 Spatial Imaging Systemを用いた
生物学的複雑性の解読

空間オミクスは、ゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクスなどのさまざまなオミクス技術と空間イメージングを統合した画期的な分野です。この研究分野の目的は、組織や細胞内の生体分子の空間的な構成や機能を研究することです。多数の細胞を用いてシグナルを平均化する従来のバルク分析とは異なり、空間イメージングはサンプルの空間的コンテクストを維持します。このアプローチにより、研究者は、細胞や分子の組織や相互作用を、その自然な組織環境の中で理解することができます。

イメージングに基づく免疫蛍光法は、抗体の特異性を利用して細胞や組織内の標的分子を検出し可視化する技術として広く用いられています。しかし、複雑な組織の分析では、細胞の真の多様性を捉えるために比較的多くの抗体を用いて標的タンパク質をマッピングする必要があります。
また、標準的な顕微鏡システムでは4 つ以上の異なる蛍光チャンネルを捉えることができないため、しばしば研究が制限されてしまいます。

Invitrogen™ EVOS™ S1000 Spatial Imaging System は、1 回の画像取得で9 つの蛍光スペクトルを分離して検出できるよう設計された装置です。組織内のタンパク質の鮮明なイメージング、同定、局在の確認などを可能にします。EVOS S1000 Spatial Imaging Systemは、効率的なイメージング時間と最適なサンプル保存のために設計されました。さらに、サーモフィッシャーサイエンティフィックは、抗体や蛍光色素、標識試薬などに関する専門知識とノウハウを応用し、相乗効果の高い試薬を提供しています。

​​​​​表1. 6 色以上のマルチプレックスイメージングの利点

図1. 正常な結腸組織を4 種類のマーカーで染色し、Invitrogen™
EVOS™ M7000 Imaging System でイメージングした画像

検出できるターゲット数が限られているため、組織の微小環境を理解
するために利用できる情報に制限があります。

図2. 正常な結腸組織を8 種類のマーカーとDAPI で染色し、EVOS
S1000 Spatial Imaging System でイメージングした画像

マルチプレックスイメージングにより、組織内の生体分子や細胞の局
在、相互作用に関する情報を得ることができます。

Key terms and definitions

空間生物学:生物学的分子、細胞、組織がその本来の環境の中で空間的に構成され、相互作用することを研究する分野。空間生物学の目的は、細胞の局在と相互作用をマッピングすることであり、空間的コンテクストが生物学的機能にどのような影響を与えるかについての洞察を容易にし、研究者が空間的多様性を理解するのに役立つ。

空間トランスクリプトミクス:研究者が組織サンプル内の特定の場所で遺伝子の発現レベルを測定し、マッピングすることを可能にする技術。

空間プロテオミクス:細胞内タンパク質の局在とその動態に焦点を当てる。この手法では、細胞内のタンパク質の位置、組織切片内のタンパク質の位置と相互作用をマッピングする。

マルチオミクス:ゲノム、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、エピゲノミクス、リピドミクス、メタボロミクスなどからなる1つのサンプルから2つ以上のデータセットを生成する研究分野。

空間イメージング:空間生物学における技術であり、さまざまな技術を駆使して単一細胞をその空間的文脈の中で画像化し、解析する。細胞の種類や状態、機能、時間的・空間的な細胞の同一性、細胞間相互作用、細胞の" 近傍"やネットワーク、本来の状態における組織の微小環境の構造などなさまざまな情報を提供するのに役立つ。

多重免疫蛍光法(マルチプレックスイメージング):1つの組織サンプル内の複数のタンパク質マーカーを可視化する技術。目的のタンパク質は、蛍光標識抗体で直接標識することや、蛍光標識二次抗体または蛍光基質と反応するHRP標識二次抗体とそれに結合する一次抗体を用いて間接的に標識できる。蛍光色素標識済み抗体、あるいは蛍光色素標識済み二次抗体または蛍光基質と反応するHRP二次抗体に結合した一次抗体を間接的に用いる。

サイクリックイメージング:抗体の標識、イメージング、元のシグナルの除去または消光を繰り返し行い、マルチプレックスイメージングを行う技術。


組織サンプルを用いた9 plexイメージング

EVOS S1000 Spatial Imaging Systemは、空間生物学および組織学の研究のために高度な機能を備えています。組織サンプルからのマルチプレックスイメージングの画像生成を効率化しているため、タンパク質の空間的局在を迅速に把握でき、1回のスキャンで最大8 つのターゲットと核染色を同時にイメージングできます。

スペクトルアンミキシング機能により、より多くの蛍光を用いたパネルに対応しています。この高度な機能により、ユーザーは隣接するチャンネルからのブリードスルー(蛍光の漏れ込み)なしに、標的タンパク質を分離できます。さらに、このアンミキシング処理はEVOS S1000 Spatial Imaging Systemによる画像取得の一部として自動的に実行されるため、追加の作業をする必要がありません。

画像処理の一部として自動的に実行されるこの高度な機能により、隣接するチャンネルのシグナルを明確に分離できるため、その後の解析において、より優れた品質の明確な画像データが得られます。さらに、シングルラウンドのイメージングは、サイクリックイメージングシステムと比較して、より良好な組織サンプルの保存性を可能にします。

主な特長:
• 1回で9 plex の高解像度の画像を迅速に取得可能
• アンミキシングワークフローを簡素化し、画像取得中に実行
• 特定の組織標識法や独自の色素に限定されない(他社製品含めて30色以上の蛍光に対応)
• 蛍光およびH&E染色の画像取得が可能

画像取得にかかる時間を短縮し、データ分析時間を最大化


アンミキシング技術がスペクトルの重なりを解消し高品質な画像を生成

スペクトルアンミキシングにより、最大9つの異なる蛍光色素のスペクトルシグネチャーを活用できます。この独自の機能により、発光スペクトルの重なりが大きいにもかかわらず、1つの画像内で複数の蛍光色素を正確に同定し、マッピングできます(図3)。


図3. 複数色素の発光スペクトルの例。
これらのスペクトルは、8 種類のInvitrogen™ Alexa Fluor™色素 、Invitrogen™ AlexaFluor™ Plus 色素およびDAPIを示します。蛍光シグナルがあるにもかかわらず、EVOS S1000 Spatial Imaging Systemに搭載されているソフトウエアのアルゴリズムは、発光シグナルを個別の発光チャンネルに分離し、隣接するチャンネルからの漏れ込みを排除します。


アルゴリズムを効果的に機能させるため、未染色および単色(個別染色)のコントロールサンプルをイメージングすることにより、各蛍光スペクトルを抽出します。これらのデータが全て収集されると、EVOS S1000 Spatial Imaging Systemのソフトウエアがアンミキシングマトリックスを生成し、イメージングプロトコルとして保存します(図4)。このアンミキシングマトリックスは、同じように調整された組織サンプルでプロトコルが選択されると自動的に適用されます。

アンミキシングメトリクスレポートもEVOS S1000 Spatial Imaging Systemにより生成されます。これにより、ユーザーはマルチプレックス画像取得を開始する前に、定性および定量的にアンミキシングの質を評価できます。さらに、アンミキシングマトリックスと品質メトリクスレポートが含まれたデフォルトのプロトコルも、組織や蛍光色素の種類に応じてソフトウエア上で利用可能です。


図4. EVOS S1000 Spatial Imaging Systemは、スペクトルアンミキシング機能によりマルチプレックスイメージングのデータを生成。
この機能により、全てのチャンネルを同時に可視化でき、高分解能データを容易にするための品質メトリクスレポートを提供します。


信頼性の高いスペクトルイメージング:アンミキシングレポート

EVOS S1000 Spatial Imaging System のアンミキシング品質メトリクスレポートは、アンミキシングプロセスの透明性を高めます。このレポートは、アンミキシングプロセスの精度と有効性の概要を提供します。

新しいプロトコルの画像収集の前に、ユーザーフレンドリーなアンミキシングマトリックス生成プロセスを簡単に操作できます。簡単に説明すると、非染色および単一色の各サンプルについて、適切な励起LEDを使用して、ターゲットおよびサポートチャンネル全体の発光スペクトルを収集します。次に、当社の高度なアルゴリズムがスペクトルアンミキシングにより、画像全体の各ピクセル位置における個々の蛍光の相対的な寄与を効果的に確定します。

Raw データは、発光波長間においてシグナルの漏れ込みを示すかもしれませんが(図5A)、アンミキシングマトリックスをRawデータに適用すると(図5B)、アルゴリズムがスペクトル発光シグナルを分離し、蛍光の漏れ込みを大幅に除去することで、正確で信頼性の高い結果を保証します。

EVOS S1000 Spatial Imaging System で出力されるレポートには、定性的および定量的な測定基準が含まれており、詳細な洞察を提供し、トラブルシューティングが必要な領域を示唆します。これにより、ユーザーはより高い信頼性を持って実験を最適化できます。


図5. 各列に表示された各シングルカラーコントロール(SCC)サンプルのRawデータとアンミキシング処理後の画像。
(A)対角線上の画像は、それぞれの蛍光チャンネルでターゲットに対して取得されたRawデータに対応します。対角線の外側のオフターゲットチャンネルで蛍光色素が検出された場合、Rawデータでスペクトルの重なりが観察されます。(B)単色コントロールサンプルに適用すると、シグナルをそれぞれのターゲットチャンネルで分離し、シグナルの漏れ込みを排除しています。

これらの機能により、EVOS S1000 Spatial Imaging Systemのソフトウエアは、高解像度画像を可能にします(図6)。


図6. Invitrogen™ Aluora™ 色素で染色したホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腎臓サンプル。
上部の画像はRawデータを示し、下部の画像はアンミキシン処理後のデータを示します。

Invitrogen™ Aluora™色素(488/514/555/647/700)のRawデータでは、蛍光スペクトルが重なるため、異なるチャンネルでも同じように染色されている構造体が観察できます(上部)。
この画像をEVOS S1000 Spatial Imaging Systemソフトウエアで自動処理(スペクトルアンミキシング)することにより、各チャンネルにおいて明瞭な染色を画像で明らかにできます(図6下部)。得られた合成画像はより明瞭でイメージングのにも有効です。

各標的タンパク質は、一次抗体とAluora 色素(製品番号A40002450)を用いて検出しました。
・Invitrogen™ Aluora™ 430色素とCK8(blue)
・Invitrogen™ Aluora™ 488色素とAQP4(green)
・Invitrogen™ Aluora™ 514色素とCK19(yellow)
・Invitrogen™ Aluora™ 555色素とAQP2(orange)
・Invitrogen™ Aluora™ 594色素とMCM2(red)
・Invitrogen™ Aluora™ 647色素とCK18(violet)
・Invitrogen™ Aluora™ 700色素とAQP1(magenta)
・Invitrogen™ Aluora™ 750色素とSMA(white)


単一のソフトウエアによるエコシステム:スキャンからアンミキシング処理まで

EVOS S1000 Spatial Imaging Systemは、統一されたシンプルなユーザーエクスペリエンスのために設計された単一ソフトウエアです。色素の数に関係なく、同じワークフローを利用できます(図7)。


図7. EVOS S1000 Spatial Imaging System に備えられている、単一のソフトウエアエコシステムとシンプルなユーザーインターフェース

1. Capture settings(キャプチャ設定)
2. Autofocus and exposure(オートフォーカスと露出)
3. Exposure settings(露出の設定)
4. Unmixing matrix creation tool (アンミキシングマトリックス作成ツール)
5. Overview scan(オーバービュースキャンウィンドウの表示)
6. Tool buttons(ツールボタン)
7. Scan and capture(スキャンとキャプチャウィンドウの表示)


データ分析プログラムにおけるシームレスな互換性

データ解析は、EVOS S1000 Spatial Imaging Systemで撮像された標識組織にコンテキストを与えるために非常に重要です。画像は、ピラミッド型またはシングルレイヤー型のいずれかのフォーマットで、アンミキシングやスティッチングされたOME-TIFFファイルとして保存されます。出力されたアンミキシングやスティッチングされたOME-TIFFファイルは、HALO™、Visiopharm™、QuPath 解析ソフトウエアなど、いくつかの解析プログラムと互換性があります。

ケーススタディー:定量的画像解析による乳がんの微小環境の探索

EVOS S1000 Spatial Imaging Systemと20倍の対物レンズを使用して乳管がん組織切片の高解像度画像を作成しました(図示無し)。この組織画像の81 mm2 のサブセットから、8 種類のバイオマーカーとDAPI の特異的な染色パターンを区別することができました(図8A、個々のチャンネルを左パネルに、合成画像を右パネルに示します)。

HALOを用いた画像処理により、81 mm2 の切片で同定された106万個の細胞の特性評価が可能で、マーカーによる染色結果に基づき、全体の25%の細胞が免疫細胞と分類されました。また、非免疫細胞のうち、23%は増殖細胞として分類されました(PCNA+)。

さらに、増殖細胞はサンプル全体に無差別に分布していたのに対し、免疫細胞は細胞外マトリックスタンパク質であるVimentin が存在する領域に優位に局在していることを発見し、これらの細胞の位置を特徴付けることができました(図8C)。このことは、この部分における免疫細胞亜集団の腫瘍周囲に関する重要な洞察であり、非空間的なバルク表現型アッセイ(フローサイトメトリーまたはシングルセルRNA-Seq)では明らかにできない役立つ情報でした。


図8. 単一細胞のセグメンテーションと表現型解析により明らかになった免疫細胞亜集団の空間的分布


空間生物学関連試薬ラインアップ

当社は、空間生物学のためのマルチプレックスイメージング実験に適したさまざまな染色試薬・製品を提供しています。

表2. 当社の空間生物学用製品ラインアップ


空間生物学用検証済み一次抗体コンジュゲート

当社では、FFPE 組織の染色用に性能検証済みの一次抗体コンジュゲートを取り扱っております。これらを使用することにより、二次抗体の利用が不要となり、染色プロトコルが簡素化され、シンプルなステップならびに実験時間の短縮を実現できます。また、コンジュゲート済みの一次抗体を使用するため、マルチプレックスラベリングの際の交差反応などの考慮が不要となります。

空間生物学用検証済み一次抗体コンジュゲートの検索方法
当社Webサイトのトップページ(thermofisher.com)の製品検索にて、「一次抗体」を選択の上、検索欄に「Spatial」と入力することで、ヒトFFPE切片で検証済みの抗体を検索可能です。


抗体のラベリングキット
ReadyLabel Antibody Labeling Kits


市販のコンジュゲート抗体が入手できない、またはご自身で作られた抗体を使用する場合、Invitrogen™ ReadyLabel™ Antibody Labeling Kits を使用すると、共有結合で標識された抗体を簡単に自分で作製することができます。これらのキットには、EVOS Spatial Imaging System 対応のAlexa Fluor およびAlexa Fluor Plus 色素が含まれており、コンジュゲートされた精製抗体をわずか1時間で作製することができます。

• BSAなどのタンパク質やアミンを含む溶液中の抗体を事前精製することなく標識可能
• 同一カラム上で標識から精製まで約1時間で簡便・迅速に反応
• S/N の高いコンジュゲート抗体を調製可能

 

同一カラム上で1時間以内に標識・精製可能な簡単なプロトコル

ReadyLabel Antibody Labeling Kits の仕組み

本キットは、抗体溶液を事前に精製することなく、市販の抗体や細胞培養上清を迅速かつ簡便に共有結合で標識できます。提供されるInvitrogen™ ReadyLabel™スピンカラムには、抗体溶液中に存在するBSAなどの安定化剤をろ過するレジンが含まれているため、事前の精製は不要です。

図9 . 本キットで標識した7 種類の抗体コンジュゲートで染色したFFPE ヒト扁桃組織
Smooth muscle actin, CD20, PCNA, CD45RB, E-cadherin, cytokeratin, CD68 の各種一次抗体を本キットを用いて標識し、EVOS S1000 Spatial Imaging System(x20)で画像取得したイメージです。

表3. ReadyLabel Antibody Labeling Kitsシリーズ(サイズ:各5 × 20 μg of IgG)


最大8ターゲットのマルチプレックス染色を実現した高感度FFPE切片用染色キット
Aluora Spatial Amplification Kits

Invitrogen™ Aluora™ Spatial Amplification Kit は、高輝度のAluora 色素と、酵素を介したシグナル増幅を組み合わせることで、マルチプレックスIHCおよび空間イメージング用の非常に明るい共有結合フルオロフォアを生成します。本製品は蛍光シグナル強度を向上させて、1つの組織サンプルで最大8つのターゲット(DAPIを含めると最大9 色)の可視化を容易にします。この技術は空間生物学研究に非常に有用で、空間的関係性や細胞相互作用の検出と理解を可能にします。

低発現ターゲットも高感度に検出
新開発の色素とTSAを介したシグナル増幅を採用し、バックグラウンドノイズよりも低発現量のターゲットを優位に検出できます。高
感度に検出可能なため、他のシグナル増幅システムよりも優れた、1:1,000~1:50,000の一次抗体希釈を可能にします。

同一ホストの未標識一次抗体の使用が可能
本技術では各色の染色ごとに抗体のストリッピングを行いますので、同一ホスト(マウスまたはラビット)の一次抗体を使用することが
可能です。またTSAによるシグナル増幅のため、特殊な標識をした一次抗体は不要で、未標識一次抗体を使用できます。

最適化された色素
同じような輝度と異なる蛍光スペクトルを持つ8 種類のAluora 色素は、EVOS S1000 Spatial Imaging Systemを含む、ほとんどの蛍
光マルチプレックスイメージングシステムに適合します。


図10. 本製品で染色し、EVOS S1000 Spatial Imaging System で解析した脳FFPE組織


図11. さまざまな検出法による感度の比較。
FFPE の腸サンプルをInvitrogen™ PCNA Monoclonal Antibody (PC10)(製品番号 13-3900)で1:1,000に希釈して染色し、Invitrogen™ Alexa Fluor™ 594 二次抗体(左)、本製品(中央)、他社製品(右)で検出しました。図の右下の数値はそれぞれの露光時間を示します。本製品では露光時間を短縮できることで、バックの低減や自家蛍光の干渉が減少しました。

Aluora Spatial Amplification Kit の基本原理(TSA法)
FFPE組織をターゲット用の一次抗体で標識した後、ポリ西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)二次抗体でインキュベートします。その後、Aluora 色素でコンジュゲートされたチラミドがHRPにより活性化されると、活性化されたチラミド誘導体が周囲のアミノ酸(チロシン)に結合し、局在的に沈着します。その後、抗体複合体を除去し、プロトコルを繰り返すことで、マルチプレックスイメージングを行うことができます(下図)。

Aluora Spatial Amplification Kit によるマルチプレックス解析
本製品は低発現ターゲットの感度を向上させるだけでなく、1つの組織サンプルで同一または異なるホストの一次抗体(マウスまたはラビット)のマルチプレックス検出を可能にし、抗体の交差反応のリスクもありません。本技術は上述したTSA技術により色素をターゲットへ局在的に沈着させた後、ストリッピングを使用して組織から抗体を除去できます。その際、沈着した色素の強度は低減しません。ストリッピング後、同一または異なるホストの一次抗体で、再度反応を繰り返すことができます。利便性とスループットを向上させるために、これらのステップはBond™ RX全自動免疫染色装置などの自動スライド染色装置で反応させることもできます。

製品ラインアップ
Aluora Spatial Rainbow Kit( サイズ:8色 × 100反応)
8色染色するために必要なものが全てそろったキットです。
キット内容:Aluora 色素(全8 色)、Invitrogen™ Goat Anti-Mouse Poly-HRP 二次抗体、Invitrogen™ Goat Anti-Rabbit Poly-HRP二次抗体、Invitrogen™ Prolong™ Glass Antifade Mountant、DAPI、バッファーキット

Aluora Spatial Amplification Kitsシリーズ(サイズ:100反応)
1色染色するために必要なものがそろったキットです。
キット内容:Aluora色素(いずれか1色)、Invitrogen™ Goat Poly-HRP二次抗体(もしくはStreptavidin HRP)、バッファーキット

色素ラインアップ
Invitrogen™ Aluora™ Spatial Amplification Dye(サイズ:100反応)
Aluora Spatial Amplification Kitと組み合わせて使用する色素です。

 

Aluoraシリーズ アクセサリー・関連製品


その他の空間生物学関連製品

褪色防止剤
Invitrogen™ ProLong™ Antifade Mountantシリーズ

抗原賦活化
Invitrogen™ eBioscience™ Antigen Retrieval Solution
• FFPE切片サンプルの熱誘導抗原回復(HIER)で利用
• サンプル次第で使い分け可能な、High pHとLow pH の2種類のラインアップ

ブロッキング関連試薬
Invitrogen™ BlockAid™ Blocking Solution
• 従来のブロッキング溶液では防ぐ事ができない、色素の電荷依存的な非特異的結合を抑制
• 希釈やストック調製無しですぐに利用可能
• 一次抗体/二次抗体/ストレプトアビジンなどさまざまな用途で利用可能
Invitrogen™ Endogenous Biotin-Blocking Kit
• 内在性ビオチンによる干渉を最小限に抑制
• ドロッパーボトルにより迅速性と利便性を提供

自家蛍光消光試薬
Invitrogen™ ReadyProbes™ Tissue Autofluorescence Quenching Kit
• FFPEや凍結切片での自己蛍光を最小限に抑制(リポフスチン顆粒からの自家蛍光は対象外)

Ordering information


Invitrogen™ ViewRNA™ Assay

高感度RNA in situハイブリダイゼーションを実現!

Invitrogen™ ViewRNA™ Assayは、独自のプローブ設計とbranched DNA 法によるシグナル増幅により、一般的なFISH 法よりも高感度・低バックグラウンドを実現します。これにより、目的のRNAの局在をより簡単に検出できるようになりました。キットの種類により2~4種類のRNAを同時検出できます。例えば、以下のような実験に使用できます。
• 従来のFISH法ではシグナルが弱い・検出できないターゲットの検出
• 空間トランスクリプトーム解析後の検証
• microRNA、Non-coding RNAの検出
• ウイルスの感染箇所の確認

Invitrogen™ ViewRNA™シリーズ Assay ラインアップ

※2 ハイコンテントスクリーニングに適した製品もございます。